1915年、南米・ブラジルに到着した、“コンデ・コマ”こと前田光世。ブラジリアン柔術のルーツを辿ると、彼の名に辿り着きます。前田は、講道館柔道を学んでいた人物で、柔術マスターとしても知られていました。
その前田が、ブラジルのパラで出会った、ガスタオン・グレイシーは、柔術の信奉者となり、長男のカーロスにも技術を学ばせました。
これが、現在につらなるブラジリアン柔術の源流です。カーロス・グレイシーは、1925年、リオデジャネイロに初の道場「アカデミア・グレイシー柔術」を持ちます。
ブラジリアン柔術の特徴は、セルフディフェンスを念頭においた、技術体系といえるでしょう。バランスとテコの原理に基づいた合理的なテクニックは、今日の総合格闘技界においても、選手本人の意識にかかわらず、必ず何かしらの影響を与えています。わずか100年足らずの間に、その技術的思想は世界を席捲していったのです。
実戦で有効なセルフディフェンスの体系をつくりあげたカーロス・グレイシーは、“柔術”の優位性を証明すべく、当時の格闘家たちに挑戦し続け、結果を出してきました。